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戦場に響く鈴の音
第28章 説教
「宴は要らぬ。女子もな。だから、角殿はさっさと陽へ戻れ。」
俺は軍と共にしか動く気が無いと説明をする。
「しかし…。」
角がしつこく食い下がる。
「我が殿は行かぬと仰せられた。帰られよ。」
冷たく雪南が言う。
その程度で角は引き上げるつもりは無いらしい。
「此度の黒崎様の突然の訪問、何故かと我が笹川は不安を見せております。当然でありますが、これだけの軍を率いて黒崎様が陽へ現れれば戦と見なし、我が方も構えねばなりませぬ。」
最もらしく角が向上を述べやがる。
「ならば構えろよ。俺は笹川の内戦を終わらせに来ただけだ。笹川の当主が孩里だろうと伯里だろうと同じだと考えている。当然だが透里でも構わない。この兵達を使いたいという奴に協力する為に由へやって来た。孩里がその邪魔をすると言うなら、今ここでお前を切った上で明日にでも陽を攻める。俺の言葉は理解をしたか?」
俺に刃を向ける言うならば義弟だろうと関係ない。
おおよそ、彩里の馬鹿は俺が彩里の言いなりだと由へは嘯いてると想像がついている。
「うちの総大将は気が短い。陽へ帰って当主と相談するか、うちの親父に切られるか…。賢い角殿ならわかるだろ?」
軽々しく角の肩を叩くのは佐京だ。
「今日のところは…、引き上げます。ですが黒崎様の兵は孩里様の為であると伺っております。その旨はくれぐれもお忘れ無きようお願い致したい。」
彩里の婿だと忘れるなと念を押す角が引き下がる。
産まず女は要らぬと言った俺の言葉は彩里にまだ伝わっていないらしいと肩を竦める事となる。
ひとまず軍をもう少し進めてから野営に入るべきだと雪南が言う。
「今夜の警備は怠るな!」
陽の奇襲に備えるべく、羽多野が神経を尖らせる。