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戦場に響く鈴の音
第30章 予測



わざとらしく肩を竦める佐京が


「怖い、怖い…。坊っちゃんに逆らうと大殿様からは金が貰えなくなるしな。」


とあくまでも義父の財力があるから俺に従うのだと言いやがる。

力無き者には従わない佐京…。

俺も雪南もその力が無いと佐京は踏んでやがる。


「軍議は終わりだ。」


雪南の後を追うつもりだった。

俺が雪南に掛けてやれる言葉などない。

あれが予測を外すなど有り得ない。

今頃は自分の天幕で地図を睨み、計算をやり直しているはずだ。

仕事の邪魔は出来ぬと言い訳をして自分の天幕へと引き返す。


「神路…、軍議はどうなった。」


不安の表情をする鈴が聞いて来る。


「明朝、佐京が出る。」


それだけを言って寝台に寝転がる。


「無血開城をさせるのではなかったのか?」


初めて鈴の言葉に苛立ちを感じた。


「俺は開城しろと朧に伝えた。佐京が居る事だって連中はわかってる。それでもこちらに従わずに一週間も時間をくれてやった。これ以上の何を連中にくれてやる必要があるっ!」


責めるつもりはなかった。

雪南を傷付けたのは俺だ。

無理をすれば、後一週間は持ち堪える。

それでも雪南の考えを貫けず、佐京の判断を優先した。

その八つ当たりを鈴にぶつけている最低な男だと気が凹む。


「神路…。」


俺自身が鈴を傷付けた。

今にも泣きそうな表情で俺を見る視線が痛くて堪らない。


「悪かった…。」


かろうじて、それだけを言い鈴に背を向けて寝たフリを決め込む。

情けねえ…。

自惚れていた。

鈴の期待に応えてやれると…。

俺はまだ何も出来ないガキのままだ。

不貞腐れて鈴の顔すらまともに見る事も出来ない惨めな自分を消したいとさえ思える。


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