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戦場に響く鈴の音
第30章 予測
「神路…。」
鈴が駆け寄り俺の腰にしがみつく。
城に入った事で鈴は女子の着物に着替え、黒崎の姫としての扱いを受けている。
鈴の代わりに多栄と与一が俺の小姓の仕事を務める事になった。
する事がなく、知らない城で不安になる鈴は俺を探しに来たのだ。
いつものように軽い鈴を抱き上げる。
もう幼子ではない。
元々、小柄な鈴だが胸が膨らみ腰がくびれ、完全に大人の身体へ変化したというのに俺に抱っこをされれば、まだ幼子の頃と中身が変わらない鈴が俺の顔へと頬擦りする。
「これから、どうなるのだ?」
佐京と同じ事を俺に尋ねる。
鈴の口に軽く口付けてから
「何もしない。」
と答えるだけだ。
「何も?」
「ああ、直に田植えの季節が来る。戦は民にとって、その仕事の妨げになるだけだ。」
だから、宙はひと月だけもたせろと言った。
田植えの季節を考えれば无は兵を引くしかなくなる。
宙は無尽蔵に蘇から支援を受ける。
籠城は長引くだけだ。
「民の為の戦とは、そういう意味か?」
鈴が不思議そうに俺を見る。
それなら、わざわざ朧を落とす必要はなかったと言う。
「民の為の戦は今から始まる。」
「田植えの季節が来るのにか?」
「わからぬなら寝所で鈴の身体に教えてやろうか?」
「神路まで佐京のような事を言う。」
姫として扱われる事に慣れていない鈴が頬を膨らませる。
今しか、時間が無い。
鈴と過ごせる時間が…。
だから、何度でも鈴と口付けをする。
幸せそうに笑う鈴の顔を頭へ叩き込む為に…。
鈴の肌の感触を手に覚えさせる為に…。
柔らかな肌、膨らむ乳、着物の隙から手を差し入れて鈴の小さな身体をまさぐる。