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戦場に響く鈴の音
第4章 出陣



「さて、どうする?西方領主は黒崎の嫡子よ。」


西元は俺が継ぐべき砦だと御館様が挑発する。

これ程の屈辱的な言葉を御館様が俺に向かって吐いた事など未だかつて無い。


「取り戻しますよ。」


感情だけが先走る。

怒りに近い感情…。

しかし、頭の何処かは冷静だと感じる俺が居る。

御館様は血気に流行る俺を戒める。


「由からの軍勢は笹川 万里(ささがわ ばんり)が率いる5万と聞く。幸い、こちらには神より秀幸の持ち帰った5万の兵がこの城に居る。」


暗に御館様が秀幸の力を借りないかと匂わせる。

先に俺が使った兵は皆が故郷へ帰った後…。

今から5万も掻き集めるには時間が無い。

待ってましたとばかりに秀幸がこの場へと現れる。


「西元の軍議中と聞き及びました。蘇国宰相宇喜多としては是非に同席の許しを頂きたい。」


よく通る声が謁見の間の入り口から御館様の座まで聞こえて来る。

ここで秀幸に甘えれば直愛の立場どころか俺の立場も危うい結果になる。


「秀幸か?近う…。」


のんびりと御館様が秀幸を呼ぶ。

俺はただ考える。

西元は義父の領地…。

義父に連れられて何度も見て回った記憶を辿る。

地形は?

季節は?

義父は俺に何を教えた?

御館様からだけの教えならば俺は秀幸と同じ事を学んで来たはず…。

戦場(いくさば)は俺に有利な西方…。

秀幸の力を借りずとも俺だけで西元は取り戻せる。

否…。

取り戻さねば誰も俺を一人前だと認めはしない。


「黒崎殿が大将ですか?」


世間話でもするかのように秀幸が聞く。


「どうする…、神路…。」


御館様が俺の名を呼ぶ。

俺に名は無かった。

野盗じゃチビと呼ばれ、李は俺の名なんか呼びもしない。



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