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戦場に響く鈴の音
第4章 出陣
神の示す路を真っ直ぐに歩めと御館様が俺にくれた名…。
義父は俺の成長を穏やかな笑顔で眺めてくれる。
絶対に御館様や義父を失望させてはならない。
俺が路を間違わぬ限り御館様も義父も俺の支えとなる。
「俺に兵を2万だけお貸し下さい。出来れば奥州の兵が入れば助かります。」
俺の言葉に御館様が軽く眉を上げる。
秀幸は驚きの表情を隠さない。
「たった2万?」
秀幸がそう言うのは当然だ。
梁間討伐ですら2万5千の軍を率いた。
今回は由の軍勢5万の前に立ちはだかる為の軍…。
西元は既に焼け落ちてる。
籠城して時間を稼ぐ余裕もない。
2万でどうするつもりかと秀幸が焦りを見せる。
御館様は落ち着いてる。
「奥州の兵とは?」
「直愛殿を副将として伴います。ならば奥州の兵のが直愛殿は指揮し易いかと…。」
「直愛の為だけか?」
「俺の兵の心配は必要ありません。俺には雪南がおります故。」
「秀幸は連れて行かぬか?」
「宇喜多殿は蘇の宰相、あまり黒炎を留守にするのはどうかと思われます…。」
俺の方が秀幸を諭す言葉を吐く。
御館様はニヤリと笑う。
「ならば行け…。由に黒崎の力を見せて来い。」
御館様の家臣に俺の力を見せ付けろと暗に言う。
秀幸だけが目を見開き状況の理解が出来ずに狼狽える。
「御館様っ!幾ら黒崎殿でも2万は無謀かと…。」
「西方は黒崎の領地、その次期領主が兵は2万で良いのだと言っておる。」
「しかし…。」
「秀幸…、神路が増援を要求すれば真っ先にお前が行けば良い。」
秀幸が納得する形で御館様が話を締め括る。
状況が理解出来ないのは直愛と雪南も同じ…。
俺と御館様の言葉が耳に入らぬ様子で唖然とする。