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戦場に響く鈴の音
第32章 閣議
挙げ句には
「神路…、仕事は良いのか?」
と呆れた顔までする。
こういう態度を取られると、やはり佐京と何かあったのかと考えたくない事で疑っちまう。
「何だよ…、せっかく帰って来たのに…、俺よりも佐京の為に琴を弾いてやる方が良いってか?」
責めるつもりはなくとも、幼子の頃とは違う鈴の態度が気に入らぬと鈴を突き放したくなる。
「佐京とは何も無いっ!ただ…。」
「ただ?」
「鈴だって神路に抱かれたいっ!それを簡単に神路に知られるなと絖花も佐京も同じ事を言う。鈴は神路に甘過ぎると…、だから簡単に置いて行かれてしまうのだと…。」
天然娘に余計な事を吹き込む大人が多過ぎる。
耳が垂れた情けない表情をする仔猫の頭を撫でてやる。
たった、それだけで大きな瞳を細める鈴が嬉しそうな笑顔を見せて俺の頬に頬擦りする。
相変わらずの子供っぷりに笑いたくなる口元を鈴には見られまいと手で覆う。
「神路?」
真ん丸な瞳が俺の表情を覗き込む。
柔らかな頬を撫でて口付けをする。
ちゃんと俺の妻だと確信する口付け…。
俺が何もせずとも、鈴は勝手に口を開き俺の口へと小さな舌を押し込んで来る。
擦り寄せられる身体…。
男を焦らすとか器用な事は出来ないくせに、上目遣いの甘えるような瞳だけで男をその気にさせやがる。
「ただいま…。」
白い首筋に口付けをしながら鈴の袂へ手を差し入れる。
案の定、痩せてる。
柔らかで張りのある膨らみは、そう変わらないが乳と乳の間に隙間が出来て骨張った胸元が指先に触れる。
「あまり急激に痩せたり太ったりすると、あっという間に乳が垂れるぞ…。」
「ぐっ…。」
乳をまさぐってんのに、おかしな悲鳴を鈴が出す。