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戦場に響く鈴の音
第32章 閣議
「ほう、今日は姫様もご参加か?琴でも弾かせて宴会でもやるつもりか?」
城主が座る台座の隣りに座る鈴を見た佐京が下品な口笛をピュウと鳴らす。
「宴会はしない。鈴は黒崎の姫として参加してる。侮辱をするなら佐京は閣議から外す。」
閣議は家臣を集め、多数決で今後の決定を決める場だ。
参加から外される家臣は、当然だが決定に意見をする権利を失う事となる。
「閣議の内容による。くだらない決め事ならば俺は不参加でも文句は言わねえよ。」
垂れ目を下げる佐京がヘラヘラと笑う。
「内容は皆が揃ってからだ。」
佐京と話をしてるうちに雪南に呼ばれた茂吉や多栄、与一などが広間へと集まり出す。
「閣議を行う顔ぶれとしては些か役不足な家臣ばかりだ。」
佐京がゲラゲラと笑い出す頃には最後だった雪南が孩里を伴い広間へと現われる。
「ちょ…、待て…、由の殿様が蘇の閣議に参加するとか聞いた事ねえぞ。」
笑わなくなった佐京が言う。
茂吉や多栄達も眉を寄せる。
「だからの閣議だ。」
とりあえず、それだけを伝えれば雪南が広間の真ん中へ立ち
「閣議の内容は今後の朧の処遇についてである。朧は蘇のものではないという前提で我々が預かっている。その事を踏まえた上で笹川当主、笹川 孩里殿の同席を認めたい。」
と話を切り出す。
「悪いが、笹川当主の同席など認められる訳ない。」
早くも反対を佐京が口にする。
「佐京、これは閣議…、全てが多数決で決まる。」
だから孩里の参加を決めるのは多数決だ。
「孩里殿には、条件付きでこの閣議に参加して貰う。羽多野殿と同じ意見を持つ者は挙手を…。」
初めての閣議に茂吉や多栄、与一は狼狽えた顔をする。