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戦場に響く鈴の音
第33章 悪夢
由の大城主に謀叛ありと訴えたのが俺だからだ。
その訴えと共に、今回の雪南の計画を神へ持ち込んだ。
訴えを起こした俺が天使となる訳にはいかず、雪南を天使とする事で神からの後ろ盾を手に入れる事に成功した。
由の遠征中、帝には随時、由国内の状況を報告する事と、無闇な流血は避ける事が条件として出た。
无の侵略の可能性も帝からは憶測だと言われると俺と雪南は考えていたが、意外な事にあっさりと帝はそれ等の対応もこちらに任せて支援すると言って来た。
全ては俺の婚姻から始まった計画…。
俺に謀叛の情報を漏らした彩里は何も知らず、雪南が由への里帰りを許した事から朧の孩里のところへ行くらしい。
夫の留守を全く気にも留めない形だけの妻…。
神で話が纏まれば離婚するだけだと考える。
「神路?」
夫の留守を絶対に許さない、もう一人の妻が俺の顔を覗き込む。
「どうした?忘れ物か?」
「いや…、ずっと考え事ばかりをしてるから…。」
「ああ…。」
ついぞ生返事になる。
神国大祭は5年に一度行われる建国の記念日だ。
今年は建国千年という大きな節目という事もあり街中をあげての祭りとなる。
その為に2年に一度、行われる四国協議も同時に行われる。
その四国協議には流石の鈴も留守番となる。
「あのさ…。」
「まさか留守番の話ではあるまいな。」
金色の瞳が怪しい光りを放つ。
「1日だけだ。」
「何処へ行くつもりだ。」
「帝が居る御所だ。大河の御館様に呼ばれている。」
「大河様のところなら鈴も行けるのではないか?」
いつでも黒炎に遊びに来いと言われてる鈴がニンマリと笑顔を浮かべやがる。