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戦場に響く鈴の音
第36章 興奮



「あぅ…、っひぃ…。」


鈴の喘ぎが掠れ出す。

ぐったりとする小さな身体を俺に預けて鈴が果てる。

自分勝手な仔猫…。

勝手に興奮して、勝手に満足すれば眠りに落ちる。


「愛してる…、誰よりも…。」


彼女の耳には、もう届かないと知ってて俺の気持ちを伝えてやる。

鈴の為に俺が狂戦士になる日がいずれはやって来る。


その時の俺は佐京のように鬼を諌める事が出来るのだろうか?


小さな仔猫を抱えたまま庄城での最後の夜が過ぎて行く。


「準備が整いました。」


朝食を食べ終える寸前に雪南が俺の足元に跪く。


「鈴、慌てなくて良いから…、飯はちゃんと食え。」


雪南の言葉に食べかけの飯を机に置いた鈴を叱る。


「だって…。」

「ここからは山脈越えだ。まともな飯はこれが最後…。」

「でも…。」

「食い終わらねば鈴は置いて行く。」


留守番を嫌う鈴は口を尖らせて飯を口へ押し込める。


「ちゃんと食べたからな。」


口いっぱいに飯を掻っ込み、鈴が勝ち誇る。

たかが飯でドヤ顔をされても笑えるだけだ。


「よく出来ました。」


そう言って膨らんだ頬に口付けをしてやれば


「子供扱いはやめて…。」


とそっぽを向きやがる。


「子供だろ?」

「子供じゃない。」

「夕べは自分だけが満足して寝たくせに…。」

「ウグッ…。」


口の中のものを飲み込んだ鈴が喉を詰まらせる。


「ほら、鈴はまだまだ子供だ。」


仕方がないとお茶の入った湯呑みを鈴に手渡せば、慌ててお茶を飲み干す鈴が


「神路が変な事を言うからだっ!」


と真っ赤になって怒り出す。


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