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戦場に響く鈴の音
第36章 興奮



平和な朝だ。

なのに俺の中で何かがざわつき落ち着かない。


「元々、食の細い鈴はともかく、貴方も顔色が悪い。」


心配する雪南が俺に寄り添うように立つ。


「問題はない。少し寝不足ってだけだ。」

「鈴のせいで?」

「いや…。」


汐元の屋敷の玄関を出れば俺を寝不足にした男が垂れ目を下げてニヤリと笑う。

佐京のせいだと勘づいた雪南は主の為にと鋭い眼差しで睨み返す。

馬を用意する与一が鈴を見るなり真っ赤な顔で背を向ける。


「夕べの姫さんの色っぽい鳴き声だけで色を覚えた坊やが自分を慰めたらしいな。」


朝っぱらから下品な事をゲラゲラ笑いながら言う佐京に頭が痛いとしか思えない。


「白銀に入り次第、貴様を切り捨てるぞ。」


刀の束を握る雪南が佐京を威嚇する。


「雪南…、やめろ。汐元様に迷惑になる。」


俺達を見送りに来た汐元に視線を向ければ鈴が汐元に傅いて黒崎の姫として挨拶をする。


「世話になった。」


俺の言葉に汐元が細い目を更に細めて笑顔を見せる。


「お戻りになられた時は是非ともお立ち寄り下さい。姫様の琴をまたお聞かせ願いたいものです。」


汐元はそう言うが鈴はもう一度、庄城に立ち寄るのはお断りだと苦笑いをする。

汐元に見送られる形で馬に乗り、神国への街道を目指す。

馬に積めない荷物は汐元が手配した商人が荷馬車に積んで神国まで同行をしてくれる手筈になっている。


「あの馬車であんなに高い山脈が越えられるのか?」


俺の馬に乗る鈴が目の前に聳える山脈を見て聞いて来る。


「この街道だけは街道唯一のトンネルがあるからな。」

「トンネル?」

「見ればわかる。」


普通に山脈越えをするなら神国まで、ひと月以上はかかる。

但し、貿易の荷馬車が通る為に絶対に必要となるトンネルがこの街道には存在する。


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