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戦場に響く鈴の音
第7章 士気
「とにかく、この先の由の攻撃に備えて守りをもっと固めろ。」
須賀が兵達に伝令を出す。
俺は鈴を連れて天幕に引き返す。
「神路?大丈夫なのか?」
鈴も周りの不安に飲まれてる。
「大丈夫だろ。」
鈴を膝に乗せて抱っこする。
こいつの温もりが俺を冷静にする。
「神路…。」
「心配すな。それよりも腹が減った。」
「配膳を持って来る。」
俺の腕からすり抜けるようにして可愛げのない仔猫は俺の膝から飛び降りる。
その後の鈴は無表情で無言のまま食事をして無言のまま俺に寄り添う。
「なんか、不満か?」
床に入り俺にしがみつく鈴に聞く。
「神路は考えがあるのか?」
俺を真っ直ぐに見る鈴の目が怖い。
こいつは裏切りを許さない。
俺が下手な嘘で誤魔化せば鈴は俺から裏切りを感じて二度と俺の言葉を信用しなくなる。
「考えがある訳じゃない。ただ俺の判断が正しければ雪南が間に合うと俺は信じてる。」
「雪南が?」
「天音に居る雪南は俺の為に動いてる。それが間に合えば万里なんか簡単に蹴散らせる。」
「そうなのか?」
雪南の名を聞いて鈴が少しは安堵する。
俺よりも口煩い雪南の方が信用があるとか、どういうつもりだと思う俺は鈴の頬に口付けする。
「だから鈴は大人しく寝ろ。」
「神路は寝てばかりだ。」
「今は寝てるしかねーもん。」
「他にやる事はたくさんあるはずだ。」
鈴が俺に顔を近付けて来ると俺の方が鈴から目を逸らして狼狽える。
やる事とか言われても…。
鈴の柔らかな身体の感触が俺の手や身体に伝わり妙な気分になって来る。
こんなガキに…。
欲情する自分が信じられない。
鈴の顔を撫でて親指で鈴の唇に触れてみる。