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戦場に響く鈴の音
第7章 士気



その日から、ゆったりとした時間を鈴と過ごす。

雨で万里との小競り合いすら無くなった。

暇な時間は鈴に算盤(そろばん)や文字を教える。


「合ってるか?」


算盤の数が合ってるか不安そうに聞いて来る。


「合ってるよ。」


鈴の柔らかな頬に口付けしてやれば鈴は偉そうにふんぞり返って、ふんっと鼻を鳴らす。

これは鈴にとってご褒美らしい。

1問でも間違えたら死にそうな顔をするや否や頑固な鈴は俺から離れてしまう。

その代わりに全問正解すれば俺の膝の上によじ登り綺麗な顔を俺に擦り寄せてご機嫌な顔をしやがる。

こうやって俺が構ってやった分だけ鈴の表情が少しづつ増える。

2人だけの時間を守る鈴は直愛が来ると不貞腐れる。


「お邪魔…でしたか?」


直愛が鈴の不機嫌に狼狽える。


「鈴、直愛にお茶を…。」


そう鈴に命じれば鈴は大人しく従う。

俺の小姓だという立場を鈴は決して崩さない。


「それより、直愛の要件は?」


そう聞けば直愛が神妙な表情をする。


「雪南殿はいつ、こちらに到着します?」


直愛はその確認の為に来た。

雨が降り出して2週間になる。

後、2週間もすれば万里が攻めて来る。

正直、この2週間の兵の士気は最悪だ。

雨という理由もあるが、一番の理由は俺だろう。

元服したての若造大将が小姓と天幕に籠りイチャついてる。

そんな指揮官の下で働く兵の士気は下がる一方であり、望みの綱は天音から来る雪南の援軍だけだと直愛は考える。


「雪南は来ねえよ。」


俺の言葉にショックを受ける直愛はモロに愕然とした表情を描き俺に噛み付く勢いで俺の前に顔を寄せる。


「来ないってっ!?援軍は雪南殿と共に天音に居ると仰ったではありませんかっ!?」


悲痛な声で直愛が叫ぶ。


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