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戦場に響く鈴の音
第7章 士気



まだ雨が続く中を俺は鈴を抱えて最前線に立つ。

防衛線を高台にある西元まで下げた為に本陣があった場所は兵士達で溢れてる。

そんな中で俺は兵士達に傷付いた鈴と居る姿を見せ付ける。


「痛くないか?」

「平気だ。それより何が起きるのだ?」


兵士達で芋洗いになり混乱してるという最中でも賢い鈴だけはちゃんと冷静なままだ。


「見てればわかる。」


鈴の髪を撫でて笑ってやる。

あれほどまでに美しかった顔は蒼く腫れ上がっており、俺の中で怒りが再び湧き上がる。

俺の気持ちなど気にも止めない鈴は真っ直ぐに戦場だけを睨む。

俺の後ろに直愛と須賀が並んでる。


「直愛、万里の動きは?」

「我が軍が引いた為に斥候が出ております。」

「狼煙は間違いなく返したな。」

「はい。」


兵達を集めて、そろそろ4半刻が立つ。


「雪南、まだか?」


そうボヤく。


「神路殿っ!」


直愛が目を見開く。

地鳴りが始まった。

同時に耳を劈(つんざ)く爆音がする。

何事かと兵士達がザワつく。


「落ち着けっ!援軍が欲しかったんだろ?」


待ちに待った援軍が来た。

それは一気に押し寄せて対岸に居た万里の軍勢を飲み込む勢いでやって来る。


「こ…れは…!?」


須賀も固まったまま天音川の北側を凝視する。

それは茶色く濁った大量の川水…。

宛ら、八岐大蛇のように荒ぶれた水面は飛んだり跳ねたりを繰り返し万里の本陣を目掛けて一気に押し寄せる。

対岸では万里の軍勢が逃げ惑う姿が見える。

高台に引いた俺の軍勢はこれで無傷のまま戦える。

あれだけ冷静だった鈴までもが目と口を開き、この光景に驚愕する。


「土石流というのだ。」


土石流の爆音に怯えて俺にしがみつく鈴に教えてやる。


「土石流?」

「溜まりに溜まった水が決壊を打ち破って流れ出した時に起こる自然現象だ。水の勢いは周りの木や岩までもを巻き込み、街の一つくらいを丸呑みにする。」


土石流の威力は凄まじい。

その怖さを一番よく知ってるのが黒崎一族だ。


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