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戦場に響く鈴の音
第7章 士気



元々、自然に出来た湖は天音だけで天理、天太は黒崎が人口的に作った湖である。

西方が乾季でも田畑で水を枯らす事がなく、かつ土石流などの災害を避ける為に作られた湖…。

それらを作り出す為だけに古くから黒崎は武よりも学に重きを置いた。

俺は御館様が育てたから武のが秀でた武将だと思われがちだが黒崎の義父からは学だけを学んだ。

その中で雪南は天才とまで唄われた軍師…。

特に地形を操る事にかけては右に出る者は居ないとまで言われたほどの漢だ。


「神路はこれが来ると知ってたのか?」


鈴が不思議そうに聞いて来る。


「先にも言ったが土石流は自然災害だ。起きる場所は誰にもわからん。」

「なら、なんでわかった?」

「黒崎は土石流を止める事が出来た。なら逆に起こす事を雪南は研究していた。今回の土石流は雪南が計算して起こしたものだ。」

「雪南は、やはり凄いな。」


雪南にガミガミと言われ続けた割に鈴は雪南の存在を認めてる。

口煩くとも常に雪南が言う事が正しいと鈴はちゃんと理解をしてる。


「直愛、兵士に飯を与えた後に陣形として攻撃の陣を引かせろ。」

「攻撃でありますか?」


由と蘇はとんでもない土石流に阻まれてる。


「夕刻前には水が引く。そのまま万里の残党を狩り、万里の首を取る。奥州の兵はこの土石流で怖気付いてしまったのか?」


なんの為に奥州の兵を1万以上も用意してやったのだと俺は笑う。


「この直愛が必ずや笹川の首を取って参ります。」


やっと状況が見えた直愛が目を輝かせる。


「急げよ。土石流の後ろから雪南が黒崎の兵を率いてやって来るぞ。」


俺の言葉に須賀も目を輝かせる。


「羽多野殿が?」

「傷が癒え次第、戻れと命じてある。」


約ひと月、ここに居た。

万里に受けた傷が癒えた頃合いである以上、万里に一矢報いてやると早る兵士は多い。


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