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官能小説 朗読します!
第7章 リアル 1
「もしもし?大樹アカデミーの西崎です。あ、タクマ君?今日はどうしたの?今日は来月からのクラス分けテストだったのに。」
1日の仕事の終わりは、予備校の授業を欠席した生徒への電話がけ。状況の確認と叱咤激励して次の授業に気持ちを向けさせなければならない。
「あ、西崎チューター。すみません、......ちょっと、色々あって。」
「色々って......、タクマ君。受験勉強以上に大事なことは、少なくとも今はないんじゃない?また、スランプだぁ~って言って、ネットに逃げてるんでしょう。」
「......そんなことないけど。でも、確かに面白い動画を見つけて、ちょっとはまってはいます。」
「もう秋なんだから、ここからは現役生も伸びてくるわよ!さすがに今年は決めてくれないと、せっかく遠くから出てきてるんだし。」
「......。」
「いい?明日は必ずいらっしゃい。授業の後で学習の進み具合の確認するからね。帰り残ってね!」
「また、面談スかぁ。」
「そうよ!三浪したら困るでしょ。ここで踏ん張らないと。」
「はぁい。分かりました。」
「分かればよろしい。じゃあ明日、待ってるからね、タクマ君。おやすみなさい。」
「......おやすみなさい、西崎チューター。
......玲子さん。」
「!?」
聞き間違えだろうか?
確かに「玲子さん」と、タクマが発音した気がする。予備校での私は、西崎凉子という本名を名のっている。同僚も担当生徒も、皆、私を「西崎チューター」と呼ぶ。下の名前で呼ばれることは、ほとんどない。
れいこ、と、りょうこ、を聞き間違えただけよね、きっと。
私は自分に言い聞かせる。
杉谷タクマは、今時珍しい二浪の予備校生。地方の出身だが二浪目になって背水の陣をしき、親元を離れてこの予備校に通っている。彼の住む地方では、適当な予備校がなかったそうだ。
だから尚のこと、今年は合格させなくては。
彼と同い年の大学2年生が、同じ予備校でアルバイトしているというのに、タクマは志望校の合格圏内まだ届いてない。
同い年の気楽さからか、少しは焦ったほうがいいのに、と私のほうがやきもきしていた。
翌日、授業の終わる時間を見計らって、タクマを面談室に引っ張っていく。
長い手足をもて余すように、崩れた姿勢で椅子に座る。
1日の仕事の終わりは、予備校の授業を欠席した生徒への電話がけ。状況の確認と叱咤激励して次の授業に気持ちを向けさせなければならない。
「あ、西崎チューター。すみません、......ちょっと、色々あって。」
「色々って......、タクマ君。受験勉強以上に大事なことは、少なくとも今はないんじゃない?また、スランプだぁ~って言って、ネットに逃げてるんでしょう。」
「......そんなことないけど。でも、確かに面白い動画を見つけて、ちょっとはまってはいます。」
「もう秋なんだから、ここからは現役生も伸びてくるわよ!さすがに今年は決めてくれないと、せっかく遠くから出てきてるんだし。」
「......。」
「いい?明日は必ずいらっしゃい。授業の後で学習の進み具合の確認するからね。帰り残ってね!」
「また、面談スかぁ。」
「そうよ!三浪したら困るでしょ。ここで踏ん張らないと。」
「はぁい。分かりました。」
「分かればよろしい。じゃあ明日、待ってるからね、タクマ君。おやすみなさい。」
「......おやすみなさい、西崎チューター。
......玲子さん。」
「!?」
聞き間違えだろうか?
確かに「玲子さん」と、タクマが発音した気がする。予備校での私は、西崎凉子という本名を名のっている。同僚も担当生徒も、皆、私を「西崎チューター」と呼ぶ。下の名前で呼ばれることは、ほとんどない。
れいこ、と、りょうこ、を聞き間違えただけよね、きっと。
私は自分に言い聞かせる。
杉谷タクマは、今時珍しい二浪の予備校生。地方の出身だが二浪目になって背水の陣をしき、親元を離れてこの予備校に通っている。彼の住む地方では、適当な予備校がなかったそうだ。
だから尚のこと、今年は合格させなくては。
彼と同い年の大学2年生が、同じ予備校でアルバイトしているというのに、タクマは志望校の合格圏内まだ届いてない。
同い年の気楽さからか、少しは焦ったほうがいいのに、と私のほうがやきもきしていた。
翌日、授業の終わる時間を見計らって、タクマを面談室に引っ張っていく。
長い手足をもて余すように、崩れた姿勢で椅子に座る。