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泥だらけのお姫様
第6章 溺れるのは禁断の果実で優しい不実の麻薬
     

         ***


「あいさん新しい指名です」

 あれから3ヶ月。私は少し痩せていた。今で標準体重くらいだろうか? 恋をすると女性は綺麗になる。恋をしている時が一番痩せていたと友達が言っていたのを思い出す。産後太りを言い訳になかなか痩せなかった体重がするりと落ちてびっくりした。

 人に見られる仕事をしているということや、お客さんに褒めてもらえることが多いのも関係しているのだろうか? 褒められると輝けるタイプ。私は、その典型なのだと思う。草木も水をあげなければ枯れる。水だけじゃない太陽も必要だ。太陽、それが──。

「将さん! お久しぶりです!」

「あいさん……、指名、しちゃいました」

 あの日から私の水であり太陽である人、将さん。だけど、笑顔はぎこちなくて。

「どうしたんですか?」

「とりあえずボトルいれる……一番安いのしか無理で……ごめんね」

「い、いえっ、ありがとうございます」

 どうしたんだろう? 私はふわっと将さんの頭を撫でる。
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