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泥だらけのお姫様
第6章 溺れるのは禁断の果実で優しい不実の麻薬
    

 将さんが頼んだボトルはあっという間に空になる。

「の、飲み過ぎですよ~。そろそろ話せますか……?」

「飲んでも飲んでも酔えないけれどぉおお~、もうお金もないですしぃ、話ます。話ます」

 私はずっと将さんの頭を撫でている。いけないこと不実、こんなこと思ってはいけないと思いつつ、下腹部の湿りと一番大切なところが硬くなるのを感じる。

「俺、今日、振られたんっすよ」

「えっ? り、離婚するんですか?」

 突然のことに動揺して声がうわずった。 

「あ、そっか。指輪……してるもんね。そう思うよね。違うんだ、というか振られたってのも違うか。俺から言い出したし。女子高生とさ……そういう、その……不倫……関係だったんだ。ってか犯罪でもあるし、あぁ、俺ってマジでクズだぁ」

「ちょ、やめて下さい。そんなことないですよ」

 机に頭を打ち付ける将さん。机と頭の間に手をそえる。誠実そうで幸せそうな人にそんな秘密があったなんて、意外すぎて、一瞬、優祐もよぎったが待ち受けを家族にしているのだから全然違う。キャバクラに来てる時点で~なんて世間のツッコミは今は受け付けない。

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