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泥だらけのお姫様
第8章 泥だらけのお姫様
  

         ***

 将さんと別れて、私はまた優祐にのめりこんだが、あの夜は本当になんだったのだろうってくらいに塩対応になった。

 キャバクラの仕事は、ナンバー2までいったが、ナンバー1になる前に辞めてしまった。もう稼ぐ必要はない。将さんのために……そう思って、そう思うだけで心は潤っていて、キラキラと輝いていたんだなと別れてからなおさらに実感した。

 レンタルスペースの物品の8割くらいを売ると結構なお金になった。売らなくてもいい。勿体無い。そんな声が聞こえてきそうだが、可愛いお洋服やアクセサリーやカバン、何を見ても将さんを思い出して、今は辛い。ある程度貯金もしていたので、このお金は優希の専門学校費用に充てよう。

 4年も一緒にいたのにお互いにプレゼントはない。付き合うって決めた最初の時に約束した。プレゼントはお互いの配偶者へのリスクといつかきた終わりに辛くなるからと。でも、こんなことならやっぱり、一つくらい何かねだっておけば良かったな……なんて、

「わぁあぁあぁん」

 荷物が空になったレンタルスペースで思いっきり泣いた。本当に終わったんだ。そう実感したら悲しさが込み上げてきた。
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