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泥だらけのお姫様
第8章 泥だらけのお姫様
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「将さんっ……。はっ……! えっ……?」
将さんとのホテルでの夢を見て、目を覚ますと、ぐっしょりとした嫌な感覚がした。一瞬、頭が追いつかなくて、理解するまでに時間を要した。
私……おねしょしたんだ。不快に濡れたパジャマを洗濯して、お風呂に入って、布団の処理をする。
「……何これ……? ガキと結婚した覚えないんだけど? 恥ずかしいから外に干すなよ」
「ごめん……なさい」
こういう時、普通の夫婦なら奥さんのことを心配するのではないだろうか? 世間体ばかり。将さんなら……
「……泣くとかさらにガキかよ。気分悪い。仕事、行ってくる」
バタンっと乱暴に玄関の音をさせながら出ていく。
「将さん……っ……んっ……」
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、思い出しながら自慰行為をした。あの瞬間、私は幸せだった。愛されていた。だけど、私にはもう優祐しかいない。愛されたい、愛されない。この辛さは一体、どこにぶつければいいのだろうか?
優しさを知ってしまったこと。優しさを失ったこと。保っていた心の均等は崩れ、この時から心が壊れ始めた。