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泥だらけのお姫様
第8章 泥だらけのお姫様
「大丈夫。母さんが母さんで良かったよ。俺、母さんのおかげでこんなに大きくなれたんだよ。これからは母さんのことは俺が絶対に守るから。何でも言って? もう俺、18歳だからさ。あの頃、怖くて父さんから助けられなくてごめん。もう一人でさ、頑張らないで?」

 私は優希の顔をしっかりと見る。涙でぐしゃぐしゃにしながら言葉を紡ぐ。

「息子にね、こんなこと言うのはおかしいと思うけど、母さんね、ずっと愛されていたかった。甘えたかったし、甘えられたかった。好きってただそれだけだった。私だけを見て欲しい。寂しかった。埋めたかった心にぽっかり空いた穴」

 優希はもう一度、私をぎゅっと強く抱き締めた。

「もういいよ。ずっとこれからは俺がいるから。あと一ヶ月したら帰ってくるから」

 母親としてはおかしいのかもしれない。それでも、……私は優希の腕の中で思いっきり泣いた。
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