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泥だらけのお姫様
第3章 泥にまみれてく
「そういえば、どうして今まで振られたの?」

「そんなの、どうだっていいだろ? つまらない。つまらない。つまらない。つまらない。お前らが望んだことを僕はしているのに……なんで、なんで、なんで?! 何がっ!!!」

「痛っ……」

 私がただ一言、質問しただけで、狂ったように部屋のものを投げまくった。ガラスの破片で手を切った。

「ママ、どうしたの……?」

「優希……! ごめん。片付けといて。ごめんね、優希、大丈夫だよ。父さんと一緒に寝ようか」

 びっくりした。今まで取り乱したところなんて見たことがなかったから。歯車は、壊れていたのかもしれない。強い人。そう思っていたけれど、ずっとずっとずっと、優祐は無理をしていたのかもしれない。それから私は、そのことには触れなくなった。一緒にいてくれる。ただ、それだけで私も良かったはずなのにーー。

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