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泥だらけのお姫様
第3章 泥にまみれてく

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 優希が大きくなるに連れて、優祐の出張は増えていった。

「旦那が出張なんて、子どもが高学年になったなら、その方がいいじゃん! 亭主、元気で留守がいいってね! ははっ! それに美愛は愛されてるんだから大丈夫だって!」

 友達はそう言って、笑った。外から見ればそうなのかも知れない。ううん、そう見せているのは私も同じ。

 優祐はことあるごとにプレゼントをくれた。誕生日。クリスマス。結婚記念日。たまのサプライズ。家族でのお出かけだって、月に一度はあった。優希は、優祐に似て、頭がいい子で、動物園とかよりは、美術展や展覧会に行くことが増えた。変わったのは、それだけ。うん、それだけだと信じたい。

 私も幸せだよってそんな風に思い込んで、呟きSNSや写真SNSには、キラキラとしたフィルターで加工して、

《今日は誕生日! 夫からーー》

《今日はクリスマス! 家族で過ごす時間。夫から私にはーー》

《今日は結婚記念日! 優希は母と父に預かってもらって、高価なディナー》

《今日は夫からのサプライズプレゼント!》

 どこからどう見ても幸せ。幸せを作っているのは私も同じ。世間体を気にしているのは、優祐だけじゃない私も同じ。

 だけど、ぽっかり空いたーー。疼くのは……じゅっと下腹部が熱くなった。
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