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泥だらけのお姫様
第11章 【番外編2】最悪の再会の果て~自分であるために~
帰りの電車。乗り換えてからが長い。いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
「んっ……うぅ~!」
「あっ? 起きた? なんか、人身事故あったみたいで、電車、止まっちゃってるみたい」
「そうなんだ」
下腹部にジクジクとした痛みを感じる。と、揺れる軽い波がやってくる。この感覚……知ってる。
……トイレいきたい。
乗り換えの時にトイレには寄ったのだが、眠って起きると何故か高確率で催す気がする。夕方にカフェインの入ったミルクティーを飲んだのも影響しているのだろうか。でも、今、言ったところでどうしようもない。私鉄の準急にはトイレは備えつけられていない。
「どれくらいで動きそうって?」
「一時間くらいってさっき言ってたから、あと45分くらいかな?」
「そっか?」
「どした?」
「なんでもない」
そうは言ったものの……優希にはバレてしまう。優希はコートで私の下半身を隠してくれる。私は、手で股をぎゅっと抑えたり、足をモジモジとさせる。優希は、頭をよしよしと撫でてくれる。帰りのラッシュ時間で人はそこそこ多い。始まりのほうの駅から乗車したので座れているが、途中から乗ってきた人も多いのだろう。つり革につかまり、立っている乗客もいる。例えるなら、今の状況は、映画館の一番いいところでトイレに行きたくなった時のようだ。