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泥だらけのお姫様
第11章 【番外編2】最悪の再会の果て~自分であるために~
「美愛……ちゃん?」
前から黒いスーツを着た男性が私の名前を呼び、足音が近づいてくる。最悪だ。こんな時に知り合いと遭遇するなんて。しかし、私を美愛ちゃんなんて呼ぶ男性、優希以外に誰だ? 私を名字で呼ぶ人しか今はいないはずだ。
「将……さん? どうして……?」
顔をあげると一年ほど前に別れた彼がいた。迎えに行く。もう二度と迎えになんて来なくていい。今では、そう思う男だ。
「将さんって……てんめっ!」
「やめてっ!」
将さんは優希の拳を受ける。
「突然、殴りかかってくるなんて、君、失礼だよ」
「失礼しました。息子の優希です。母がお世話になったようで」
「息子さんでしたか。こちらこそ、失礼しました。こんなところでまさか出くわすとは思いませんでしたが……。ここ、俺の家の最寄り駅なもんでして、すみませんね」
「そうですか。母はもうあなたにようはないので、行きますね」
にっこり笑う2人。その笑顔がどちらも怖くて、私は優希のロングシャツの裾をぎゅっと握る。
前から黒いスーツを着た男性が私の名前を呼び、足音が近づいてくる。最悪だ。こんな時に知り合いと遭遇するなんて。しかし、私を美愛ちゃんなんて呼ぶ男性、優希以外に誰だ? 私を名字で呼ぶ人しか今はいないはずだ。
「将……さん? どうして……?」
顔をあげると一年ほど前に別れた彼がいた。迎えに行く。もう二度と迎えになんて来なくていい。今では、そう思う男だ。
「将さんって……てんめっ!」
「やめてっ!」
将さんは優希の拳を受ける。
「突然、殴りかかってくるなんて、君、失礼だよ」
「失礼しました。息子の優希です。母がお世話になったようで」
「息子さんでしたか。こちらこそ、失礼しました。こんなところでまさか出くわすとは思いませんでしたが……。ここ、俺の家の最寄り駅なもんでして、すみませんね」
「そうですか。母はもうあなたにようはないので、行きますね」
にっこり笑う2人。その笑顔がどちらも怖くて、私は優希のロングシャツの裾をぎゅっと握る。