この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
狼に囚われた姫君の閨房録
第7章 大阪力士事件
空は眩いほどに、星が散りばめられていた。空の片隅に三日月が薄くかかっている。
吹き付ける風に、私は身震いした。やはり、川沿いは冷えるようだ。
「寒い? すぐ宿だからね」
総司が私の頭に羽織をかぶせた。
総司の匂いと温もりは妙に安心感があった。船酔いの気分の悪さも忘れてしまいそう。
「駕籠を拾った方がいいんじゃねえか?」
と、新八。
「しかし、この夜に辻駕籠などは……」
一が言った時、全員の間に緊張感が走った。
目の前の広い橋だ。
向こう側から、浴衣姿の力士の集団が横並びで橋を渡ってくる。大声で笑い合い、よけて通る通行人をからかっているようだ。
「絡まれたら、面倒だ。道を変えるか」
と、一。おそらく、芹沢に聞かせるつもりだったと思うが、芹沢はずんずん歩き出した。
「構うことはない。武士が道を譲る道理があるか?」
「芹沢先生のおっしゃる通り。行きましょう」
新見錦が芹沢の後を追う。 
止める暇もない。橋の半ばもいかずに、芹沢一派と力士の集団はぶつかった。
「どかんかい! 木っ端侍!!」
先頭を歩いていた巨漢が怒鳴った。
他の力士は髪を軽く結っているだけだが、この男は大銀杏に結いあげている。履き物も、雪駄ではなく高下駄だ。
「どくのは、そっちだろう!」
芹沢が怒鳴り返す。芹沢も大男だが、やはり力士相手だと見劣りがした。
「武士とすれ違うときは道を譲るのが基本。そんなこともわからんか?」
「ワッハッハ! 聞いたか、お前ら」
大銀杏の巨漢は大笑いした。
「関取りは武士と同格ということを知らんと見える。哀れなことよ!」
次の瞬間、芹沢の手から刀が一閃した。
目にも止まらない早業!
目が追いついたときには、巨漢の首は胴から飛んでいた。
「あ……」
思わず、私は悲鳴を上げた。首が宙を飛んで、私の足元に転がった。
「いやあ〜っ」
私は総司にしがみついた。
「貴様ら〜」
「許さん!」
それが合図のように、斬り合いが始まった。力士は帯刀を許されている。これはただの喧嘩ではなく、二本差し同士の戦いであった。
/277ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ