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狼に囚われた姫君の閨房録
第8章 座敷牢
力士との乱闘事件の翌日の夕暮れ。
山崎烝の報告で一件を知った歳三は、屯所に戻るなり、私を怒鳴りつけた。
「このバカ!」
屯所内に響く怒声であった。びっくりして、庭の小鳥が飛び立った。
「大阪で騒ぎを起こすたあ、どういう了見だ?」
「待てよ。騒動は芹沢鴨のせいだぜ。あいつが力士に喧嘩売るから……」
新八が慌てて口を挟むと、総司も言った。
「すみれちゃんは暴走した芹沢鴨を止めようとしただけですよ。責める相手が違います」
「てめえらは引っ込んでろ! 暴走したのは、すみれも同じだろうが」
芹沢鴨に身体の芯まで突き通され、精も根も尽きていた私。頭を下げるしかなかった。 
歳三は私の近くにきて、顔を覗き込んだ。
「俺が本庄宿で言ったこと、覚えているか?」
「俺たちのいうことを一生聞け……でございました」
「それに従ったと言えるか?」
「いいえ……」
弁解するのも、めんどくさい。ヘトヘトだ。
「……なんなりと、ご処分なさいませ」
本庄宿での夜、『いうことを聞かなかったら、ただじゃおかない』と歳三に言われたことは覚えているから。
「いい度胸だ。左之助。こいつをひん剥け!」
その言葉に、留守番組の左之助が反応した。
「こんな庭先で裸にするのかよ?」
「いくらなんでも、かわいそうだろ。奥とはいえ、隊士が表にいるのに」
藤堂平助も言うと、歳三は激しく首を振る。
「肌襦袢だけ残して、着物をはぎとれと言ってんだ。さっさとしろ」
抵抗する気力もない。
私はその場で、下着姿にされた。透け感のある下着なので、乳首も亀裂も、丸見えだ。
「一、こいつを座敷牢に繋いどけ」
歳三の指が襦袢越しに私の乳首を捻る。指先で挟んでクリクリとする。
その強さに、私は声を漏らした。
「ううっ……」
「しかし……」
さすがに一が躊躇すると、
「こいつのためなんだよ。あれで、芹沢は味をしめたはずだ。きっと、またすみれを犯しに来る」
歳三はそう言いはなった。

それで、私はこうして牢に繋がれているというわけだ。
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