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母親失格
第1章 母親失格
『長男がそんなことを?』
15時の休憩を見計らって義弟に電話した。
義弟はため息をついた。
『そうか…。兄貴はなんて?』
「子供たちのために別れないって」
『お前はどうしたい?』
「…義弟君は?」
『俺は…長女と次女は育てたい。俺の子供だって思ってるから』
「…私と一緒になる前提の話?」
『それ以外なにがあるの?』
「そうするには、今の生活を全部捨てなきゃなんないじゃん。長女も次女も、転校とか転園させなきゃなんないし、義弟君も仕事、」
『仕事なんか別にどこでだって出来るよ。俺のことはいいよ。長女と次女には話した?』
「まだ。でも、昨日、一緒に長男の話を聞いてた」
『あの二人はまだ小さいし、俺に懐いてるから大丈夫だよ。俺から話をするから』
「義弟くん」
『なに?』
「長男を育てたいとは、言ってくれないの?」
義弟は、しばらく黙ってた。
息をする音だけが聴こえてくる。
『……兄貴の子供だからなぁ。
あ…もう時間だから、戻るね。また電話する。
愛してるよ、またな』
幼稚園のお迎えに行ってから帰宅すると、長男が帰っていた。
相変わらず宿題もせず、オンラインゲームに夢中だ。
「ねぇ、ママと叔父ちゃんと、長女と次女と、みんなで一緒に暮らさない?」
おやつに肉まんを出すと、長男は「あんまんがよかった」と舌打ちした。
「おれが肉まんよりあんまん派だって忘れてる人と暮らすなんて御免だよ」
いつの間にか随分大人びた口を訊くようになった長男を思わず抱きしめると、長男は思い切り顔をしかめた。
「ママやめてよ」
私を突き放して、長男はまたタブレットでゲームの続きを始めた。
「言ったでしょ。おれはママの息子でも、叔父ちゃんの息子でもない。パパの息子なんだよ」
長男はそう言って、肉まんを頬張った。
15時の休憩を見計らって義弟に電話した。
義弟はため息をついた。
『そうか…。兄貴はなんて?』
「子供たちのために別れないって」
『お前はどうしたい?』
「…義弟君は?」
『俺は…長女と次女は育てたい。俺の子供だって思ってるから』
「…私と一緒になる前提の話?」
『それ以外なにがあるの?』
「そうするには、今の生活を全部捨てなきゃなんないじゃん。長女も次女も、転校とか転園させなきゃなんないし、義弟君も仕事、」
『仕事なんか別にどこでだって出来るよ。俺のことはいいよ。長女と次女には話した?』
「まだ。でも、昨日、一緒に長男の話を聞いてた」
『あの二人はまだ小さいし、俺に懐いてるから大丈夫だよ。俺から話をするから』
「義弟くん」
『なに?』
「長男を育てたいとは、言ってくれないの?」
義弟は、しばらく黙ってた。
息をする音だけが聴こえてくる。
『……兄貴の子供だからなぁ。
あ…もう時間だから、戻るね。また電話する。
愛してるよ、またな』
幼稚園のお迎えに行ってから帰宅すると、長男が帰っていた。
相変わらず宿題もせず、オンラインゲームに夢中だ。
「ねぇ、ママと叔父ちゃんと、長女と次女と、みんなで一緒に暮らさない?」
おやつに肉まんを出すと、長男は「あんまんがよかった」と舌打ちした。
「おれが肉まんよりあんまん派だって忘れてる人と暮らすなんて御免だよ」
いつの間にか随分大人びた口を訊くようになった長男を思わず抱きしめると、長男は思い切り顔をしかめた。
「ママやめてよ」
私を突き放して、長男はまたタブレットでゲームの続きを始めた。
「言ったでしょ。おれはママの息子でも、叔父ちゃんの息子でもない。パパの息子なんだよ」
長男はそう言って、肉まんを頬張った。