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母親失格
第1章 母親失格
 あれから10年以上になる。


 とっくに30歳を過ぎた次兄は、未だに結婚していないし、浮いた話も聞かない。

 ただただ毎日淡々と働き、実家で暮らしながらだんだん年老いていく両親をそれとなく見守り、死んだ長男の代わりに、家族の中心で長男みたいな役割を果たしてくれている。


 一度だけ次兄の部屋で、次兄が同世代くらいの男と二人で仲睦まじく並んでいる写真がクローゼットの奥に飾ってあるのを、たまたま見てしまったことがある。
 私は見ないふりをしたのに、バカみたいに慌てて隠す次兄が悲しかった。


「母さんに言うなよ。俺まで親不孝できない」


 私は分かった、とだけ言った。




 親不孝、親孝行。
 長兄の自殺後、その2つのワードに縛られるように私達兄妹は生きてきたと思う。


 私が結婚して長男を生んだとき、私は両家の母親から「ちゃんと最初に男の子を産んで、親孝行だね」と言われた。


 夫は本家の長男。
 夫の実家は土建屋を営んでいて、まぁまぁ金回りが良い。
 お宮参り、お食い初め、すべてド派手に金を使ってくれた。

 夫が言った。


「これが女だったらビタ一文使わないよアイツら」


 実際、長男のあと、私は長女と次女を出産するのだが、出産祝いをもらった記憶すらない。



 




 
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