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母親失格
第1章 母親失格
 義弟は夫とは年子。
 年は私のひとつ上、ということになる。

 夫とは年が11ヶ月しか違わないから、まるで双子みたいだと、周りは笑う。

 性格は派手好きで血気盛んな夫とは真逆で、義弟は穏やかで落ち着いたタイプ。
 だけど、背格好は本当によく似てる。

 
『嫌だって言ってんのにお父さんが我慢できないってしつこいから。そしたら出来ちゃって、出来ちゃったら産むしかないでしょ』


 義母が結婚式のとき、夫が双子だったの?と混乱する私の母に笑いながら義弟のことを説明していた。
 私の母も、笑いながら大きく頷いて、こう返していた。


『うちの子もホラ、末娘でしょう?まったく同じですよ、男・女・男でどっちも揃っていたから子供なんていらなかったけど、出来ちゃいましたからねぇ。女の子なんて二人もいらなかったんですけど。でもこんないい方にもらっていただけで、幸せですわ』




 なにかに苦労したわけでも、傷付いたわけでもない。
 大切にされなかったわけでもない。
 それでも、義弟と結び付いてしまった何かが、確かにある。







『今晩、夫が出張で居ません』





 子供たちが寝静まったあと、義弟にLINEして、玄関の鍵を開ける。
 子供部屋の中を覗き、子供たちがしっかり熟睡していることを確認してから、寝室のベッドに入り…パジャマも下着も脱ぎ捨てる。



 ウトウト寝かかった頃に、玄関ドアの開く音がする。
 靴を脱ぐ音。
 廊下を歩く音。
 寝室のドアが開き。
 衣服を脱ぐゴソゴソした音。
 ベッドが軋んで、布団の中に冷たい躰が滑り込んでくる。



「今日すげぇ寒い。死ぬかと思った」



 キスされ、すぐに舌が滑り込んでくる。
 真っ暗だから顔は見えない。
 LINEしていなければ… 
 夫だと言われたら信じてしまうかも知れない。
 


「まさかこんな時間に呼び出されると思わないから、あと少しで自分でしちゃうとこだったよ」



 義弟が躰に覆いかぶさってくる。
 耳の中に荒い息が響く。
 躰のあちこちを義弟が撫で回してる。
 息を漏らした私の唇を、もう一度義弟が塞ぐ。



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