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あなたがそれを望むなら
第2章 失意の中で
まぁ、うちの部署があるのは三階のフロアだからを階段を使うのもそこまで苦にはならない。
俺は急ぐように階段を駆け降りた。

明日こそ、明日こそはちゃんとマフラーを返して松野さんに話しかけよう。
それから、先日のお礼に食事に誘ってみよう。
松野さん、喜んでくれるかな?
驚くかな?

無意識のうちに足取りが軽快に、まるでスキップでもしてるかのような気分になる。
心が弾んで楽しくなる。




すると…




「――――くすくす」





階段を降りた先、二階のフロアの陰で誰かの笑い声が聞こえた。
いつもなら気にしないままに通りすぎるが、俺の視線はその笑い声の方に向けられた。

「そうなんですか?くすくす」
「マジマジ!だからさ――――」

楽しく談笑する男女の会話。
何だ?恋人同士でラブラブ話しかー?

ちらりと男女の声のする方を見ると




―――――――っ!?




そこにいたのは、池尻と…
松野、さん…?









俺より先に帰ったはずの池尻が松野さんと楽しそうに談笑している光景だった。









え?何で…?
何で池尻と松野さんが…?










さっきまで軽快だった足取りが止まる。
楽しかった気分も一気に萎んでいく。
不安と嫉妬で胸がチリチリと焦げ付くみたいだった。

そして俺は、昼飯休憩の時に池尻が言っていた言葉を思い出した。


『実はさ、今度松野をデートに誘おうと思ってんだよね~』






まさか、池尻…
松野さんをデートに…?




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