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あなたがそれを望むなら
第3章 この手を取って
「松野さんってさぁ、無防備というか、危機感ないよね?」
「え…?」


他の男が触るなんて許さない。
他の男のものになるなんて、絶対許さない。

自分勝手な想いが暴走する。


「今だって簡単にドアを開けて、俺を中に招き入れて」
「あ、あの…」
「会社の人間だから安心した?」
「佐伯さん、何を…」
「もし俺が泥棒だったどうする?強盗だったどうする?」

松野さんの言葉を遮るように、畳み掛けるような言葉遣いで追い込んで行く。
困る松野さんの顔が可愛くて仕方ない。

「松野さん、男ってもんをわかってないでしょ?」



あー、でも
この状況なら泥棒や強盗の方がまだマシだったかもね。



「な、何を言っ―――――」




強盗や泥棒なら、金さえ渡せば助かったかも知れない。
でも、今の状況なら無理だね。

だって
何がどうなったところで、松野さんに逃げ道なんてないんだから。



「んぅっ!!」

松野さんの口を塞ぐかのように自分の唇を重ねた。
驚いたような小さな悲鳴が漏れたが、俺はそれを無視した。

「んっ、んぐ…」

松野さんの両手が俺の体を話そうとするが、松野さんみたいな小柄な女性が俺に勝てると思ってんのか?

松野さん一人の抵抗ぐらい片手で抑えられる。
もう片方の腕で松野さんの頭を押さえつけた。
深く…、深くまで松野さんの唇と舌を絡めとる。

「ん、ん…っ」

甘い吐息と悲鳴。
部屋に男を招き入れた時点で、こうなるかも知れない可能性もあったのに。

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