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あなたがそれを望むなら
第1章 目覚めると…
「………」

そんな俺を見ながら松野さんは何も言わずにキョトンとしている。

あー…、謝って済む問題じゃねぇよな…。
ビンタされて罵られても文句言えねぇーよ。

そう覚悟し固く目を閉じたが、彼女の反応は予想外のものだった。


「あははははっ!!な、何言ってるんですか?佐伯さんっ!」
「え?」

彼女は腹を抱えて笑い出した。
そして、何か誤解している俺に、昨夜の出来事を教えてくれた。

「昨夜の事、本当に何も覚えていないんですか?」

昨夜の事…?
確か、少し遅めの新年会があって…、俺は一次会でホロ酔いになり
課長や部長、他の数名の同僚達と一緒に二次会に参加した。

二次会の席で部長から

『佐伯君は仕事は出来るんだけどねー、酒の嗜み方はまだまだだなー!!はははっ!!』

と、からかわれた。

元々酒は弱くて、一次会でもチューハイ2杯でホロ酔い状態。
二次会ではチューハイかソフトドリンクにしておこうと思っていた。
しかし、部長にからかわれた瞬間に火がついてしまった。
いつもなら部長のそんな台詞は聞き流せるのに、チューハイ2杯でホロ酔いだった俺は

『おぉっ!?やってやらぁぁぁっ!!』

と、部長が飲んでいたウィスキーのロックを取り上げて一気飲み。



…そして、そこからの記憶が全くないのだ。



つーか、下戸の俺がウィスキーのロックを一気飲みなんてしたら一発で泥酔するに決まってる。
昨夜の俺は一体何を考えていたんだ!!
しかも、部長にそんな啖呵を切って松野さんにまで迷惑をかけて…っ!

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