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あなたがそれを望むなら
第1章 目覚めると…
最悪だ…。
マジで最低最悪だ、俺…っ!
つーか、こんな事なら記憶がなくても松野さんを抱いて、俺の体温と暖かいベッドで寝かせてあげてる方がまだマシじゃねぇか!(壊)

「あー、大丈夫ですよ。電気カーペット付けてますから全然寒くなかったですし」
「で、でも…、そんな固い床の上で…」
「いいえ。それより、佐伯さんが元気になってくれてよかったです」


ニコッと笑った松野さんの顔を見て、俺は自己嫌悪に陥った。
松野さんとは仕事の事以外で話した事はない。
いつも仕事に真面目で、少し近寄り難いイメージがあったが、普段の松野さんはこんなに優しい人だったんだ。

そんな優しい人に俺はなんて迷惑を…。

「あ、あとさ、もう1ついいかな?」
「はい?」
「あの、俺の服…」

下はいつものズボンだが、上半身の衣類が違っている。
スーツを着てたはずなのに、今は見知らぬ真っ黒なTシャツ。
俺、こんなTシャツ知らないんだけど…?

「あ、それは…」

松野さんは申し訳なさそうな顔で話し出した。

「上のシャツは汚れてたので、申し訳ないと思いつつ脱がさせて頂きました」
「え…?」
「それは、昔付き合ってた彼が置いて行ったものです」

汚れてた…?
あぁ、恐らく俺の吐瀉物のせいだな…。

「す、すいません、勝手に…」
「いや、そんなのは…」

俺は男だし上半身を脱がされる事に抵抗はない。
寧ろ俺の事を思っての行為なのだから感謝こそすれ怒る筋合いはない。


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