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メサイアの灯火
第2章 伝説の大和民族
 様々な憶測が流れる中、夜が明けた。

 人々がようやく周辺の状況までを含めて事態を把握し始めた頃、ある異変が起きていた事が判明する。

「彼等がいないだと!?」

「はい・・・」

 調査に出掛けた調査隊からの報告によれば、遙か東方からやって来た、流浪の民達の宿泊していた野営地がもぬけの殻になっていた、と言うのだ。

 ただ一つ、木で作られた簡単な祭壇だけを残して。

「一体、どうしたこと」

「奴らの、仕業だったんじゃないのか!?」

「なんて奴らだ!!」

「行く当ても無く、ここに逗留させて下さっていた王の恩寵を仇で返すなんて!!」

「いいえ、違います」

 報告を聞いて人々が騒ぎ立て始めた直後、再び隊長が口を開いた。

「祭壇は、この町を囲むようにして他の場所にも設けてありました。昨日あの光の柱を出現させて私たちを救ってくれたのは彼等だと思われます」

「・・・・・!!!」

「何という事だ」

「彼等は恩を返してくれたどころか、私達に返しきれない程の恩を施して行ってくれたのだな」

「・・・返そう」

 後に旅先から帰還してきて詳細を聞いた王はそう告げた、“自分たちの家と家族を守ってくれた者達に祝福あれ”と、そして“返しきれないその恩を、何としてでも返そう”と。

 その日からー。

 彼等エトルリア人の数千年に及ぶ旅は始まった、自分達を救ってくれた英雄、“大和民族”に巡り合い、永久なる友誼を結ぶために。

 そして。

「必ず、あなたを見つけ出すわ。何度生まれ変わろうと、どれだけ遠くへ行こうと・・・!!」

 それは一人の少女の長い長い旅立ちの物語でもあった。
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