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僕の彼女が堕ちるとき
第3章 サイは投げられた
 僕は電話の切れたスマホの画面を睨んだまま、しばらく頭をあげられなかった。

 何本かの電車が俯いた僕の前に止まったが、僕はベンチに座ったままで、それを見送り続けていた。
 
 なぜ、朱里は僕に嘘をついたのだろう。
 僕は何よりもそのことがショックだった。
 
 確かに、大塚が一緒に行くことを教えられたら、僕はいくら勝負とは言え、朱里にいい顔をして、行っておいで、とは言えないだろう。普段なら確実に止めているはずだ。だけど、いくらゼミの女の子たちが一緒とはいえ、大塚の誘いは、僕をだまして行くほどのことなのだろうか。
 
 僕の思考はひたすら薄暗い小路に入り込んでいくようだった。
 だが、この縁もゆかりもない田舎駅で、このまま座り込んでいてもしかたない。

 僕は、心の中に暗くて重い澱を沈めたまま、再び、帰りの電車に乗り込んだ。

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