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僕の彼女が堕ちるとき
第4章 苦すぎたコーヒー
「今、電車で新宿に着いて、西野さんも含めて女の子たちと飯を食ってるところだ。まあ、電車のなかでは、いろいろネタになりそうな話も聞けたし、ここからが勝負かな。」
「下らんですね。どうせあんたは、ゼミの女の子たちに金魚の糞みたいについて行ってるだけだ。せいぜい、女の子たちに財布として利用されてくればいいさ。」
「……言ってくれるじゃないか。」
「あいにくと、その程度のことは、こっちにも容易に想像がつくんですよ。」

 僕はあざ笑うように電話の向こうに言った。
 もう、僕はこいつのブラフに怯えたりすることはない。


「ま、いいや。それはそれとして、電車の中で、どうも気になるところがあってね。君、松井彩さん、知ってるよね。西野さんの友達の。」
「知ってるも何も、うちのゼミ生じゃないですか。それがどうかしたんですか?」

「いや、今、二人とも一緒にいるんだけどさ、松井さんと西野さんって、両方とも、教師目指してたんだね。教職とかやたらと単位あって大変だよねえ。よく取る気になるよ。俺みたいに自堕落なやつにはわからんわ。」
 大塚の言い方はあっけらかんとしていたが、それは事実だった。確かに朱里と松井さんは教職課程を取っていて、松井さんは教員試験に合格したが、朱里は受からなかった。

 もともと2人は仲が良かったはずで、僕たちは松井さんを含めて3人で遊びに行くこともあったが、最近はそういう機会は途絶えていた。たぶん、教員試験の結果で溝ができてしまったのかな、と思っていたが、それを改めて朱里に聞くのも気が咎めた。

 僕としては、せっかく内定という結果が出て、塞がりかけた教員試験の傷をまたほじくり返すような気がしたのだ。

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