この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
僕の彼女が堕ちるとき
第6章 見えない心、違えた道
 それに、よくよく考えると大塚の言葉もおかしく思える。
 わざわざ僕を自分の部屋に来させたくせに、今になって帰れというのは何故なのだろう?
 もちろん、ヤッてる最中に邪魔が入るのは嫌だ、という大塚の理屈はわかる。
 けれどそんなことは最初から分かっていたことで、今になってわざわざ言い出すというのが妙なのだ。
 
 もともと、大塚は口で言うほど、この勝負に勝ち目など感じていなかったのではないか?
 ところが、朱里と話すうちに、例の簿記の教材のことを思いついた。
 それをダシにして、朱里を部屋におびき寄せることができると踏んだ。
 大塚は朱里が部屋まできたら、問答無用で押し倒す気なのではないか?
 それを僕に邪魔されたくないのではないか?
 そうだとすれば、急に帰れと言い出したことにも、合点がいく。

 
 さらに大塚は、もう八割方落ちたみたいなことを言っていたが、それがわかる具体的な根拠は何もない。大塚のいかにももっともらしい話と、朱里がスマホの電源を落としたということだけだ。
 朱里にスマホの電源を切るように勧めた、という大塚の話が、そもそも怪しくないか?
 昨日から充電してないなら、電池が切れかかっているのは当然で、大塚はたまたま朱里が僕にメールするのを見かけて、僕を動揺させるために、さも自分が主導したかのように言っているだけではないのか?
 
 ……それならば。
 むしろ、僕はこのクロゼットで待ち受けて、大塚が朱里を押し倒すのを止めるべきだ。
 
 あいつはそこまで自信があるわけではないのだ。
 だからこそ、僕にここに居てほしくないのだ。
 
 僕はそう読んだ。
 大塚の言うリミットのぎりぎりで僕の気持ちはようやく固まった。
 だが、僕はもうリミットなど信じていない。
 それこそがあいつのブラフに違いない。

 そして、大塚の部屋の壁掛け時計が10時を差した。
 僕は部屋の明かりを消すと、再びクロゼットの中にもぐりこんだ。

/67ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ