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カゴノトリ
第2章 部屋の中

剛三は美保と二人きりで会いたがった。
食事にも誘われた。
高額なプレゼントも何度も手渡された。
出張の際には、同行してくれないと誘われた。
美保は、それは断った。
温泉旅行にも誘われた。
何度も何度も執拗に誘われた。
決定的な日が訪れた。
結婚して欲しい、と剛三に言われたのだ。
美保はその申し出を丁寧に断った。
しかし、剛三はあきらめなかった。
何度も何度もプロポーズされた。
美保はついに、折れた。
そんなにも私を想ってくれるのならと。
悪い人ではないと思った。
恩もあった。
卓也の面倒も看ると言った。
美保も卓也も大学に行かせたいと思っていた。
私を大事にしてくれる人だと思った。
一ヶ月前に一部の者以外には、公にすることもなく、美保と剛三は入籍した。
結婚生活は淡々と送られた。
もちろん婚前交渉はなかった。
結婚してからも夫婦の交わりはなかった。
美保は最初からそのつもりはなかった。
剛三もそうだと思っていた。
しかし……違っていた。

