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スカーレット オーク
第2章 2 バー『コリンズ』
 女が一人で飲んでいるとこういう風に誰かから話しかけられることが少なくはないが、やけに話したがったり酒の注釈をしたりで下心がないにせよ面倒になってくる。
この男も自分と同じように酒と雰囲気を楽しんでいるんだろうと解釈をして、緋紗はまた一口マティーニを口に運んだ。

 カウンターにぼんやり右手を乗せて『ハバネラ』のリズムを機嫌よくとっていると、
「松脂の香りがする」
 と、唐突に男が言う。
緋紗は慌てて右手をひっこめた。
その仕草に男は首を少しかしげて、
「どうかしました?」
と、訊ねてきた。
「私の指です。たぶん……」
「指?」
「ええ。昨日夜中まで窯を焚いててその薪の匂いが残ってるのかなと……」
「窯?陶芸?」
「そうです。そうです。私、備前焼作家の弟子やってるんです」
「ああ。それでマスターは『女のお弟子さん』って呼ぶんですね」
 ここで緋紗が自分のことをマスター以外に話したのは初めてだった。

「僕は林業関係だからいつも杉とかヒノキに囲まれていてね。松の香りをすごく久しぶりに嗅いだ気がしたんだ」
「リンギョウ?」
「そう。『きこり』って言えばわかりやすいかな。植林したり伐採したり、まあ森を整える仕事です」
「ああ。なんとなくわかりました。でも、そんなお仕事してる人身近に聞いたことないです」
 緋紗には林業などと聞いても頭に漢字が浮かんでこなかった。
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