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スカーレット オーク
第3章 3 岐路
「行こう」
ほとんど無言で三分ほど歩くとホテルに着いた。

「いらっしゃいませ」
 フロントから事務的な声がかかる。
「遅くなりました。予約しておいた大友ですが一名追加できますか?」
「可能でございます。ご予約のままのお部屋でも二名様対応のダブルルームですので後ほどアメニティをお持ちいたしますし、本日カップルプランのダブルルームのお部屋が空いていますがいかがいたしましょう」
「じゃカップルプランへ変えてください」
「かしこまりました」
 ――オオトモさん。

 大友が記帳をして鍵を渡される間、緋紗は少しでもちゃんとしている風体を装っていた。
事務的な様子にだんだん酔いも醒め落ち着いてくる。
「部屋へ行こうか」
 エレベーターで上がり薄暗い通路の突き当りの部屋に到着すると、大友がカードキーを差し込み扉を開ける。
「どうぞ」

 角部屋だからか、想像より広い。
緋紗はぼんやり靴を脱いであがる。
大友はバッグとさっき買ったものを小さなテーブルへ置き、ジャケットを脱いでハンガーにかけた。
ネクタイを緩めながら椅子に腰かけ、
「先にシャワーを使えばいいよ」
 と、バスルームを指さす。
「じゃあお先に」
 ――もうやるだけ。

 緋紗は眼鏡をはずし素早く服を脱ぎさっとバスルームに入り、少し熱めにしたお湯を浴びる。
本当は家でシャワーを浴びれば欲情は鎮火したかも知れない。
だけど今は熱いお湯に自分自身がまた火照ってくる。――どうしてこんな気分になるんだろう。
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