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スカーレット オーク
第72章 72 動かせないベッド
緋紗はアトリエの外に出て見回すと直樹がスカーレットオークの木にもたれて立っていた。
「あっ」
思わず息をのむ。
グレーのスーツ姿で少し痩せ、髪が伸びて銀縁の眼鏡に掛かり、シャープな横顔は精悍さを増している。
周りの景色とマッチして一枚の絵のように見え、緋紗はぼんやり立って見惚れていた。
パキっと緋紗が踏んだ小枝の音が鳴り、直樹がこっちをゆっくり振り向く。
そして歩いてくる。
夢の中のようなふわふわとして時間が止まったような感覚だった。
後五、六歩ほどで手を伸ばせば直樹が触れる位置に来る。
夢ならこの辺で目が覚めていると、緋紗は目を閉じた。
「久しぶり」
目を開けると目の前に直樹がいる。
「お久しぶりです」
緋紗はやっと言葉を発した。
「元気そうだね。髪を伸ばしたのか」
そっと頷く緋紗はベリーショートからショートボブになっていて、少しだけ化粧もし落ち着いた雰囲気を醸し出している。
「綺麗になって」
直樹に見つめられるまま緋紗はぼーっとしていた。
「心配しなくても僕は檻の獣にはなっていないし、緋紗にもそうさせる気はない」
そして、「ついて来てほしい。和夫さんには許可もらってるから」 と緋紗の手を取った。
久しぶりの直樹の大きな手だ。
駐車場には綺麗に磨かれたSUV車がとまっている。
「乗って」
ゆっくりと発進し、直樹は黙って車を走らせる。
緋紗も黙っていた。
久しぶりの二人の狭い空間に緋紗は緊張したが、愛しい男のそばに居ることがゆっくり気分を高揚させていく。
「あっ」
思わず息をのむ。
グレーのスーツ姿で少し痩せ、髪が伸びて銀縁の眼鏡に掛かり、シャープな横顔は精悍さを増している。
周りの景色とマッチして一枚の絵のように見え、緋紗はぼんやり立って見惚れていた。
パキっと緋紗が踏んだ小枝の音が鳴り、直樹がこっちをゆっくり振り向く。
そして歩いてくる。
夢の中のようなふわふわとして時間が止まったような感覚だった。
後五、六歩ほどで手を伸ばせば直樹が触れる位置に来る。
夢ならこの辺で目が覚めていると、緋紗は目を閉じた。
「久しぶり」
目を開けると目の前に直樹がいる。
「お久しぶりです」
緋紗はやっと言葉を発した。
「元気そうだね。髪を伸ばしたのか」
そっと頷く緋紗はベリーショートからショートボブになっていて、少しだけ化粧もし落ち着いた雰囲気を醸し出している。
「綺麗になって」
直樹に見つめられるまま緋紗はぼーっとしていた。
「心配しなくても僕は檻の獣にはなっていないし、緋紗にもそうさせる気はない」
そして、「ついて来てほしい。和夫さんには許可もらってるから」 と緋紗の手を取った。
久しぶりの直樹の大きな手だ。
駐車場には綺麗に磨かれたSUV車がとまっている。
「乗って」
ゆっくりと発進し、直樹は黙って車を走らせる。
緋紗も黙っていた。
久しぶりの二人の狭い空間に緋紗は緊張したが、愛しい男のそばに居ることがゆっくり気分を高揚させていく。