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スカーレット オーク
第9章 9 約束の日
「よかった。いなかったらどうしようかと思った」

 緋紗は上がり下がりする胸を押さえながら言った。

「たぶん来ると思って待ってたよ」
「今日に限って仕事が終わるのが遅くて」 
「お疲れ様。おなか減ってる?」
「ああ。空いてます」
「なに食べようか」
 ――この恰好じゃなあ。

 本当は瀬戸内海の鮮魚を扱った創作和食料理屋へ誘うつもりだったが緋紗は仕事帰りのままブルーのパーカーとジーンズ姿だ。

「えーと。この辺に美味しいラーメン屋さんがあります」
「いいね」
「じゃ。行きましょう。案内します」


 ――男子中学生みたいだな。

 直樹はくすっと笑って緋紗の後姿を見た。
それなのにあの夜のせいか今日は最初からセクシーに見える。
少し倒錯めいたものがあるのかもしれない。
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