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スカーレット オーク
第10章 10 ラブホテル
「一緒にお風呂に入ろうか」

 安堵しているところへの一言だったのでびっくりした。
が、ボタンをはずしたシャツから大友の逞しい胸が覗かれた時には緋紗は欲望にとりつかれ始め、こくりとうなずいて一緒にバスルームに行った。

「ああジャグジーだね」
「ほんとだ。気持ちよさそう。バブルバスにもできるみたい。してもいいですか?」
「どうぞ」

 緋紗はバブルバス用の入浴剤を入れて湯を張る。
湯がたまるまで少し時間があるだろう。緋紗は思い切って聞いてみた。

「あ、あの。聞いてもいいですか?」
「答えられることなら」
「彼女はいないんでしたよね」
「うん」
「でも遊ぶ女の人がいっぱいいるんですか?」
「ううん。全然いないよ。なんで?」
「慣れてるじゃないですか。なんか色々」
「ああ」

 笑いながら大友は答えた。

「ほとんど兄貴の受け売りでね。こういう時はこうしたらいいって若いころから教えられてきたんだ。兄貴は相当の遊び人だったからね。今は、もうまともだけど」
「そうなんですか」
「前にも言ったけど女性を抱いたのは恥ずかしながら五、六年ぶりだと思う。もう忘れるところだったよ」
――そんなに長く独りでいたからあんなに激しかったの?

 黙って聞いている緋紗に、「相手をしてくれるのはひさちゃんだけだよ。」と、付け加えた。
少しだけ納得したような気もするし疑問が残る気もする。
しかし無意味な質問だったかもしれないなと思った。
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