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旧公爵令嬢 漆原ノア〜恥辱の3日間
第41章 3日目(12)
「木崎……木崎……木崎……」
ノアは一生懸命、木崎の名前を呼んだ。
「お嬢様……ご……」
木崎は、ノアの姿を見て思わず目を背けた。

木崎には、直視出来ないような姿だったからだ。
「ふん……どうした。使用人……やっとお嬢様に再会出来たのに、なぜお嬢様のことをちゃんと見てやらないんだ」
孫野健一は、そう言って木崎を冷笑した。

一方、ノアは木崎から目が離せなかった。
カラダを縛られて床に転がされてる木崎。
そして、木崎の顔は腫れ上がっていて、見るも無惨な姿だった。

「き……木崎を……木崎を病院に連れていって……お願い……あのままでは死んでしまいますわ……」
ノアは涙を流しながら、孫野健一に懇願した。

「なんて優しいんだろうな……お嬢様は……俺にもそうやって優しくしてくれれば、今頃こんな目にも会わなかったのにな……」
孫野健一は、木崎を縛り上げてる縄の端を持った。

「な……何を……何をするんですか?」
「何をって……それりゃあ決まってるだろ? お嬢様にやっとご対面出来たっていうのに……この使用人ときたらお嬢様の前で失礼にも、床に寝転がってる。だから、起こしてちゃんと、お嬢様に挨拶させようというしてるんだよ。おい!! おまえらも手伝え……いや……おまえら、この使用人をちゃんと座らせろ」

そう命令された、3人の男たちの内、小太りの男と背の低い男が木崎の両脇を抱えた。

「あーーむ……無理に動かさないで!!」
「ふん!! おいアマ……さっきと言ってることが違うぞ……病院連れてけっていったよな? それなのに無理に動かさないでとは……」

「そ……それと……これとは違いますわ……そんな乱暴に起き上がらせようとしたら、木崎が……」

「平気だよ。死なない程度に、暴行したんだからよ。顔が今は腫れてるが、その内腫れもひく。そんなに人間の回復力を舐めるなよ」

孫野健一は、そう言ってノアの髪を撫でた。
「ぶ……」
ノアは、『無礼者』と言おうとした。
しかし、今それを言えば目の前の木崎が何をされるかわからない。
屈辱を感じながら、ノアは唇をギュッと噛み締めた。

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