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旧公爵令嬢 漆原ノア〜恥辱の3日間
第68章 エピローグ1
「ノア……帰ったぞ……ノア?」
旧公爵家、当主漆原源太とその妻セレナはノアのいるはずの別荘に戻って来た。
融資の件も何とかまとまり、源太の気持ちは晴々としていた。
しかし、別荘に帰って来ると別荘のカギが開いていて、しかも部屋の中もテーブルの椅子が散乱しているなど、明らかにただごとではない雰囲気だった。
「あなた……」
妻セレナが、不安そうに源太の腕を掴んだ。
源太は冷静になるように、自分に言い聞かせた。
しかし、内心では既に取り乱し始めていた。
『とりあえず、二階に行ってみよう』
一階はこの有り様で、ノアはいなさそうだった。
もしかしたら、二階にいるかもしれないと、源太は希望的観測を持とうとした。
ただ……。
この荒らされている一階を見る限り、二階にいたとしても、なにか良からぬことが起こったとしか思えなかった。
「セレナ……二階に行こう」
「あなた……でも……」
セレナは首を横に振った。
恐ろしくて行けない。
そう目で訴えている。
セレナの動揺を前に、源太は結局、二階に行かずただ一階の散乱した状態をボーッと眺めていた。
『一体なにがあったんだノア……』
「ノア!! いないのかノア!!」
いとおしい娘の名前を叫ぶ源太……。
だが、ノアからの返事はなく、ただ虚しく響いただけだった。
『そうだ……木崎……木崎はどうしたんだ?』
源太は木崎の存在を思い出した。
木崎がいれば、なにかわかるかもしれない。
「木崎……木崎……いないのか? 木崎……」
源太の呼びかけはまたしても、虚しく響くだけだった。
『ノアも木崎もいない……』
もうなにかあったことは確定的だった。
「あなた……」
妻セレナは青ざめた顔で呟いた。
『わかっている……わかっている……』
これは、ただごとではないことくらい、源太にもわかっていた。
だが、気持ちが焦るばかりで、なにも出来なかった。
そんな時、電話が鳴った。
源太は受話器を恐る恐る取った。
旧公爵家、当主漆原源太とその妻セレナはノアのいるはずの別荘に戻って来た。
融資の件も何とかまとまり、源太の気持ちは晴々としていた。
しかし、別荘に帰って来ると別荘のカギが開いていて、しかも部屋の中もテーブルの椅子が散乱しているなど、明らかにただごとではない雰囲気だった。
「あなた……」
妻セレナが、不安そうに源太の腕を掴んだ。
源太は冷静になるように、自分に言い聞かせた。
しかし、内心では既に取り乱し始めていた。
『とりあえず、二階に行ってみよう』
一階はこの有り様で、ノアはいなさそうだった。
もしかしたら、二階にいるかもしれないと、源太は希望的観測を持とうとした。
ただ……。
この荒らされている一階を見る限り、二階にいたとしても、なにか良からぬことが起こったとしか思えなかった。
「セレナ……二階に行こう」
「あなた……でも……」
セレナは首を横に振った。
恐ろしくて行けない。
そう目で訴えている。
セレナの動揺を前に、源太は結局、二階に行かずただ一階の散乱した状態をボーッと眺めていた。
『一体なにがあったんだノア……』
「ノア!! いないのかノア!!」
いとおしい娘の名前を叫ぶ源太……。
だが、ノアからの返事はなく、ただ虚しく響いただけだった。
『そうだ……木崎……木崎はどうしたんだ?』
源太は木崎の存在を思い出した。
木崎がいれば、なにかわかるかもしれない。
「木崎……木崎……いないのか? 木崎……」
源太の呼びかけはまたしても、虚しく響くだけだった。
『ノアも木崎もいない……』
もうなにかあったことは確定的だった。
「あなた……」
妻セレナは青ざめた顔で呟いた。
『わかっている……わかっている……』
これは、ただごとではないことくらい、源太にもわかっていた。
だが、気持ちが焦るばかりで、なにも出来なかった。
そんな時、電話が鳴った。
源太は受話器を恐る恐る取った。