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旧公爵令嬢 漆原ノア〜恥辱の3日間
第68章 エピローグ1
「お久しぶりですね。旧公爵漆原家、現ご当主の漆原源太様……私の声、覚えておりますか?」
声の主は、明らかにふざけた調子だった。

「だ……誰だ!!」
源太は思わず、大声で叫んでしまった。
もう源太には全く余裕がなかった。

「つれないな……もう忘れてしまわれてたのですか? 私……私ですよ」
「あ……はあーーはあーーひん……」

声の主の話し声と共に女の嬌声が混じる。
『なんだ……一体なにをしてるんだ!!』
あまりにふざけている声の主に、源太の怒りは頂点に達した。

「悪いが、あなたのことは知りませんな……それに……今、取り込み中なんだ。イタズラ電話なら切るぞ……」
そう言って、源太が電話を切ろうとした時、またひときわ大きな女の嬌声が聞こえた。

「あーーい……イク……イク……イっちゃう……」
その嬌声は明らかにあの声だった。
あまりに生々しい嬌声に、源太は電話を切ることを忘れてしまった。
源太は今度こそ、電話を切ろうとしたが、声の主の言葉に電話を切れなくなった。

「おいおいおい……お嬢様……何回イクんだよ。今日、処女を喪ったばかりなのによ」
源太は声の主が言った『お嬢様』という言葉に引っかかった。


もしや……。
最悪な想像が源太の頭を掠める。
「お嬢様……お口が寂しそうですよ。ほら……私のを咥えてくださいよ」
声の主とは違う声が、嬌声をあげていた女に、命令する声が聞こえた。

そして、女の『うん……うんん……』という苦しそうなうめき声と、『ジュボ……ジュボ……』という水音が聞こえてきた。

「もうお分かりでしょう? さすがに……」
声の主のバカにしたような声……。
源太は半ばなにが起こってるかわかっていた。
しかし、それはあまりにも残酷なことで、信じたくなかったのだ。

「あ……あなた……どうされたの?」
セレナはいたたまれなくなって、源太に声をかけた。
しかし、源太はなにも答えられない。

「なにもおっしゃらないということは……まあいいでしょう……部下をそっちに向かわせました。貴方が戻って来る時間は把握していましたからね……もうすぐ到着しますよ」

『バタン……』
「あ……あなた……」
玄関のドアが閉まる音と同時に、セレナの声が源太を呼んだ。
玄関にいたのは、小柄な男だった。
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