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Backside storys
第1章 小鳥遊 真紀
大丸をぶらついて、鯉川筋の出口を出る。さて、帰ろうか…と思いながら歩いてたら、目の前にさっきの母娘連れがいて、あ、と思ったら…横に居ったお父さんらしき男性が…彼で。

え?

一気に頭が真っ白になる。
とっさに身を引き、人混みに隠れるようにしながら携帯を出す。
携帯を出したトコロで何をしたらいいのか…彼に電話をかけてみた。携帯がなる、やろうか…と思ったら、電源が切られてた…当然といえば当然か…

どうするべきか混乱したまま、思わず携帯でそのスリーショットを撮ってしまった。
こんなもの撮ってどうしたらいいのか…

フラフラとその場を離れ、部屋に帰った。
食欲もない。
携帯で撮った写真を見てたら、彼と過ごした数か月がまるで夢やったんやないかとさえ思えてきた。

写真は嫌い、と撮らんかったヒト。
金がないから、とプレゼントをくれることも、こっちが買ってないのに、と受け取ることもせんかったヒト。
唯一彼とお揃いやと喜んだ、一緒に作ったとんぼ玉…
奥さんと、娘さんにも同じモノをあげてた…家族でお揃い、てことにしとけば、疑われへんもんね…

嬉しがってバッグに付けてたとんぼ玉を引きちぎり、壁に投げつけた。ゴッ、と鈍い音を立てて、とんぼ玉は床に転がった。

離婚なんかしてなかった…
奥さん、お腹大きかったやん…
あの大きさなら、多分産月ってほどやない、6〜7か月ってとこやろか…
私と付き合い始めたんが年明け…私を抱きながら、平気な顔して奥さんとも普通にヤッてたんや…

悔しいやら悲しいやら、涙も出ん…
歯を食いしばって、握り締めた拳で自分の膝を叩いた…
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