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Backside storys
第3章 龍沢 玲司
「頑張れ、ってなぁ。もう既に沢山の重荷を背負って、ギリギリで立ってる人間に、更に重りを上乗せすることもあるんだ…頑張ったって、どうにもならん事だってある。だから、辛いと思ったら、一旦荷物を下ろして休んでみるのもいいかも知れん。頑張って立ってる時は、一度この荷物を下ろしたら、一度楽を知ってしまったら、もう二度と持てなくなるんじゃないかと、不安で中々踏ん切りがつかないかも知れん。そこを思い切って、下ろしてみる。そうしたら、肩が軽くなって視野が広がって今まで見えなかった景色が見えたりする。周りを見渡せば、助けようと手を差し伸べてくれる仲間が居るかもしれん。休んで思いの外回復して、また普通に持てたりもする。道はひとつじゃない。お前は若いし、酒に一生を捧げる必要もない。でも、ここで蓄えた力は、道を変えても絶対無駄にはならんから。安心して進め。」


コクン、と頷いた。涙が出そうだった。

そこに病院の先生が入ってくる。
爺さんの状態を確認したあと、

「見舞いに日本酒って…中々ないセレクトですね…」

「先生、これねぇ、孫が作った酒なんですわ。ひと口だけ味見しちゃいかんでしょうか?」

「あぁ、そういう…でもダメでしょ。ここ病院ですよ。貴方がお孫さん?」

「はい。」

「お祖父さん孝行も大事ですけど…お酒はねぇ…」

「先生、そう言わず、ひと口だけ!この子に直接感想言いたいんです。孫が去年就職して、初めて!持ってきてくれた酒なんですよ。なんなら先生もどうですか?なぁ、玲司もひと口!」

「…病人と勤務中の医師と未成年…君まだ19歳でしょ…全員呑んだらダメですよ…ひと口だけ、ね?」

先生はニヤリと笑った。
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