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Backside storys
第1章 小鳥遊 真紀
携帯番号を書かれても、いきなり電話をかける勇気はなく。
結局、日常が変わることはなかった。

それからひと月ほど経ったある日、またコンビニデザートを買いに同じコンビニに寄った。家の最寄りな訳ではないけど、スイーツはココが一番美味しい、気がする。

そう思ってスイーツコーナーに行くと、

「あ!」

と声が聞こえて。え?と顔を上げると、この間の男の人やった。

「この間はどうも。」

「あぁ…」

「傘、めっちゃ助かりました。返さなあかんなーと思いながら、連絡待ってたんですけど。やっぱり抵抗あったんかなー」

「まぁ、ねぇ…所詮コンビニのビニール傘やし、別にえぇかなぁ、と思って。」

「俺自身には?興味なかった?」

「え?」

「いや…見ず知らずの男にワザワザ家の場所知らせてまで傘とタオル貸してくれるって…俺に興味持ってくれたんかなって自惚れてたんやけどなぁ…」

見破られてた…

「脈アリかなぁと思ったから携帯番号入れといたんやけど。」

「……フリーの人?」

「俺? まぁ、彼女がいてたらいくら好みのコとは言えあんまり積極的にはならんかな…時間あったら、お茶でもどう?こないだのお礼したいし。」

別に、お礼して欲しいと思ってたわけやない。その誘いに乗ったのは、私にも少なからず下心があったから。
彼の雰囲気が、好みの、タイプやったから。

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