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Backside storys
第3章 龍沢 玲司
俺は2、3日滞在して、毎日病院も行ったけど、その間は安定していて。
いつまでも居られるわけもなく、また地元を離れることになる。
「また、夏…忙しくなる前に来るから…」
「うん。待っとるよ。」
手を振って、分かれた。
帰省する時は、好きな酒をいっぱい送って、好きなだけ呑ませてやろうと思ってたのに。夏にも会いに帰ったけど、癌は進行して、痛みも強いらしく、その頃には痛み止めで誤魔化す毎日だった。
結局、寒造りの最中、年末に亡くなった、と知らせが来て。
忙しい時期ではあったけど、社長が帰っていいと言ってくれて、葬式には出席した。段取りしてくれたのは、斜向かいの家に住んでた、爺さんの飲み仲間のおじさんだった。死ぬ前から、爺さんはその人に色々頼んでいたらしく、預金も死んで口座が凍結する前に、その人に入院費と葬式代分くらい渡してあったらしく。
残りは俺の口座に振り込まれていた。葬式の後、その人に呼ばれて、預かった金が余ったから、コレは君のだ、と20万入った封筒と何にいくら使ったか、をざっと書き出した紙を渡されて。
悩んだけど、ありがたく貰う事にした。
家には仏壇もあったけど、そこにお骨を置いといても誰もいないから、火葬の後、すぐに納骨まで済ませた。墓石にあの日飲み残した5合瓶の酒を、浴びせるようにかけてやった。
「もう、思う存分呑めるだろ…」
墓石に向かって呟き、手を合わせた。
いつまでも居られるわけもなく、また地元を離れることになる。
「また、夏…忙しくなる前に来るから…」
「うん。待っとるよ。」
手を振って、分かれた。
帰省する時は、好きな酒をいっぱい送って、好きなだけ呑ませてやろうと思ってたのに。夏にも会いに帰ったけど、癌は進行して、痛みも強いらしく、その頃には痛み止めで誤魔化す毎日だった。
結局、寒造りの最中、年末に亡くなった、と知らせが来て。
忙しい時期ではあったけど、社長が帰っていいと言ってくれて、葬式には出席した。段取りしてくれたのは、斜向かいの家に住んでた、爺さんの飲み仲間のおじさんだった。死ぬ前から、爺さんはその人に色々頼んでいたらしく、預金も死んで口座が凍結する前に、その人に入院費と葬式代分くらい渡してあったらしく。
残りは俺の口座に振り込まれていた。葬式の後、その人に呼ばれて、預かった金が余ったから、コレは君のだ、と20万入った封筒と何にいくら使ったか、をざっと書き出した紙を渡されて。
悩んだけど、ありがたく貰う事にした。
家には仏壇もあったけど、そこにお骨を置いといても誰もいないから、火葬の後、すぐに納骨まで済ませた。墓石にあの日飲み残した5合瓶の酒を、浴びせるようにかけてやった。
「もう、思う存分呑めるだろ…」
墓石に向かって呟き、手を合わせた。