この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Backside storys
第3章 龍沢 玲司
俺は2、3日滞在して、毎日病院も行ったけど、その間は安定していて。
いつまでも居られるわけもなく、また地元を離れることになる。

「また、夏…忙しくなる前に来るから…」

「うん。待っとるよ。」

手を振って、分かれた。
帰省する時は、好きな酒をいっぱい送って、好きなだけ呑ませてやろうと思ってたのに。夏にも会いに帰ったけど、癌は進行して、痛みも強いらしく、その頃には痛み止めで誤魔化す毎日だった。

結局、寒造りの最中、年末に亡くなった、と知らせが来て。
忙しい時期ではあったけど、社長が帰っていいと言ってくれて、葬式には出席した。段取りしてくれたのは、斜向かいの家に住んでた、爺さんの飲み仲間のおじさんだった。死ぬ前から、爺さんはその人に色々頼んでいたらしく、預金も死んで口座が凍結する前に、その人に入院費と葬式代分くらい渡してあったらしく。
残りは俺の口座に振り込まれていた。葬式の後、その人に呼ばれて、預かった金が余ったから、コレは君のだ、と20万入った封筒と何にいくら使ったか、をざっと書き出した紙を渡されて。
悩んだけど、ありがたく貰う事にした。

家には仏壇もあったけど、そこにお骨を置いといても誰もいないから、火葬の後、すぐに納骨まで済ませた。墓石にあの日飲み残した5合瓶の酒を、浴びせるようにかけてやった。

「もう、思う存分呑めるだろ…」

墓石に向かって呟き、手を合わせた。

/99ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ